司法書士の研修に参加してきました。
今回のテーマは「休眠担保権抹消の実務」というものです。
かんたんにいうと、長期間放置されていて、債権者と連絡が取れない、とっくに完済しているが抹消書類がない、という抵当権等をいいます。
売買の際には、このような休眠担保であっても抹消しなければならず、これが原因で売却の話が進まない、ということもあります。
今回の研修では、大きく分けて3部構成になっており、「供託による抹消手続き」「判決による抹消手続き」「産業組合・地方農業組合・負債整理組合の抹消」が大きなカテゴライズでした。
供託による抹消登記手続きの概要
供託による抹消登記手続きは、不動産登記法70条に規定されています。70条の3項の後段です。それではほかの70条1項や2項や3項前段は何かというと、裁判所が絡む手続きや、完済書類が揃っていることが前提となっていたりで、はっきりって使えない!というもので、実際になんとか使えるような手続きとして3項の後段ができたという経緯があったようです。
供託による抹消登記手続きの際には、債権者が行方がわからないことを証明する書類を添付するのですが、これがなかなか曲者のようです。
添付書類としては、非常にシンプルで、宛所に尋ね当たらない旨の郵便局のハガキでもOKとされてはいるのですが、単純にこれを添付して申請をすればよいかというとそうでもなさそう。
日司連さんからは「登記義務者が行方不明であるかどうかは、公示送達の要件に準じて、社会通念上注意を尽くすことが必要である旨や、住民票や戸籍簿の調査、官公署や近隣住民からの聞き込み調査等、相当な探索手段での調査が必要である」だそうです。
どっちなんだよ、という感じですが、例えば債権者の相続人がいることを知っていたような場合には、単にハガキを添付して申請するべきではなく、相続人を調査したうえで、債権者の相続人と権利者との共同申請にするべきであるという見解のようです。
実際に懲戒事例もあるところなので、司法書士としては注意をしなくてはいけません。
供託による抹消ができる場合とできない場合
供託による抹消登記手続きは手続きも比較的シンプルで利用しやすい制度であるといえます。
しかしながら、供託金が安い(謄本上の債権額や利率が低額)の場合には、供託金額も当然に安いので、所有者がこれを供託することは負担ではないのですが、計算の結果、供託金額が数十万円以上となる場合もあります。
そのような場合には、次回ご説明する、判決による抹消登記手続きを行ったほうがご負担が少なくなる場合もあります。
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