遺産分割に協力しない相続人がいる場合の対処方法 | 広島の司法書士めぐみ法務事務所  

遺産分割に協力しない相続人がいる場合の対処方法

遺産分割に協力してくれない相続人がいる場合

相続人間で遺産分割協議をする際には、相続人全員で協議を行う必要があります。遺産分割協議は、一部の相続人のみで行うことは認められておらず、必ず相続人全員が関与して行わなければなりません。
しかしながら、実際に相続人全員が笑顔で円満に遺産分割協議を行えるケースばかりではありません。たとえば、「父が亡くなり、相続関係を調べていたら、前妻との間に子供がいることが分かった」「相続人の中に、けんか別れして音信不通の人がいる」など、悩ましい事情を抱えているケースも多く見受けられます。
ご自身の相続がこのようなケースに直面されている方のために、その心構えと、どのように遺産分割が進んでいくのかをご説明します。

法定相続分を渡すことは覚悟すること

まず心構えとして、もし相手が他の相続人や亡くなった人物と面識がない状態であったとしても、相続人である以上、法定相続分を主張されることは覚悟しなければなりません。法定相続分とは、民法に定められ、法律上確保されている相続分のことです。

<法定相続分の一例>

  1. 相続人が配偶者と子の場合-各2分の1
  2. 相続人が配偶者と直系尊属の場合-配偶者3分の2、尊属3分の1
  3. 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合-配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

たとえ、亡くなった人と疎遠な相続人であっても、相続人であれば法定相続分を受け取る権利があります。相手が「いらない」といえば話は別ですが、「受け取る」と意思表示しているケースでは、法定相続分に相当する財産は相手に渡さざるを得ないと考えた方がよいでしょう。ましてや、「あなたには権利がない」という姿勢で相手に臨むのはお互いに感情的になるだけで、好ましくありません。相手に法定相続分の権利があることを認めたうえで、遺産分割をどのようにするのか、出方をみる必要があります。

相手の出方によって法的手続きが変わります

相手方がどのような意思を表示しているかによって、他の相続人が相手方に求めるべき手続きが異なります。
ここでは、相手の意思表示によりどのような手続きを踏めばよいかをご紹介します。ただし、実際には相続関係や遺産・負債の状況等により、個別に検討する必要がありますので、あくまで参考としてご覧ください。

相続自体に関わりたくない-三か月以内であれば相続放棄を

相手方の出方として、「相続自体に関わりたくない。遺産もいらない。」という場合は、被相続人の死後三か月以内であれば、相手方に相続放棄をお願いしましょう。相続放棄をすれば、相手方は相続人ではなくなるため、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。相続放棄後、相続放棄申述受理証明書をもらえば、手続き完了です。
ただし、相手方に相続放棄の手続きをしてもらわなければならないという点で、相手が面倒に感じたり、なかなかすぐに手続きできない状態の場合は、スムーズに相続放棄してもらえないケースもあります。

三か月過ぎている場合や相続放棄はしないが遺産はいらないという場合-「相続分の譲渡」を受ける

被相続人の死後三か月経過している場合や、相手方が、遺産はいらないが、相続放棄をする時間がないケースでは、相続分の譲渡を受けましょう。相続分の譲渡とは、遺産の分割前に、相続人としての地位の譲渡を受けることです。
相続分の譲渡を受けると、自らの「相続人」としての立場に加えて、相続分を譲り受けた「相手方」の立場も兼ねる形で遺産分割協議に参加することができます。
実務上は、相手方に「相続分譲渡証明書」に実印を押印のうえ、印鑑証明書と合わせて提出していただきます。

遺産分割協議に参加はするが、協議が調わない-遺産分割調停

相手方が遺産分割協議に参加はしてくれるが、分割内容に不満があり、協議が調わない場合は、裁判所に遺産分割調停の申し立てをすることになります。遺産分割調停の段階になると、残念ながら司法書士には代理権がないため、代理人として法廷に立つことはできません。ご自身で調停に参加するか、弁護士に依頼をして調停をすることになります。
しかし、最初に裁判所へ提出する、遺産分割調停の申立書の作成であれば司法書士が行うこともできますので、ご自身で調停に参加できるが、書類の作成だけ専門家に依頼したいという場合はご相談ください。
なお、弁護士が代理人として出廷を依頼する場合と比べ、司法書士が書類の作成代行のみを依頼した場合は、手続き報酬は低く抑えることができます。

居場所は分かるが、放棄するのか遺産を受け取るのか何の意思表示もなされない場合-遺産分割調停

相手方の居場所はつきとめたが、相続放棄するのか、遺産を受け取るために遺産分割協議に参加するのか、なんの意思表示もされない場合も、前述と同じく遺産分割調停の申し立てをすることになります。
遺産分割調停の申し立てをすると、裁判所から相手方に通知が送られますので、出廷してくる場合もあります。裁判所からの通知によっても返答がない場合は、裁判官の職権で「調停に代わる審判」がなされるか、訴訟を提起することになります。

以上のように、遺産分割に参加しない相続人がいる場合は、道のりが長くなる可能性があります。専門家に依頼する場合にはコストもかかりますので、自分の中で落としどころを定めて、相手方と歩み寄ることも必要です。

 

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