生前贈与は慎重に!相続税対策の前に知っておきたいこと | 広島の司法書士めぐみ法務事務所  

生前贈与は慎重に!相続税対策の前に知っておきたいこと

相続税かかる?かからない?

平成27年の相続税法改正により、基礎控除額が減額になって以降、相続税対策としての「不動産名義変更」のお問合せが増えたように感じます。基礎控除額とは、簡単にいうと「遺産の額がこの額以下であれば相続税は課税されませんよ」という基準となる額です。

現行(令和元年5月14日現在)相続税の基礎控除額は下記のとおりです。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×相続人の人数)

例えば、ご自身(夫)の相続を考えた場合に、相続人が妻と子一人の場合は、下記の額が基礎控除額(相続税がかからない額)となります。

3000万円+(600万円×2人)=4,200万円

上記をご自身に当てはめてみて、「うちも相続税対策が必要かしら?」と考えてらっしゃる方向けに、まず何をすべきか?を司法書士の立場から検討していきます。

生前贈与は相続税対策になるか

冒頭で申し上げたとおり、まず最初に思いつきやすいのが「生前贈与」による不動産の名義変更ですが、司法書士の立場からいうと慎重になるべきと考えています。理由は、下記のとおりです。

名義変更の登録免許税率が高い

「贈与」を原因とする所有権移転登記は、登記申請時に法務局に納める登録免許税率が不動産価格の1000分の20と定められています。これは、所有者が亡くなった後に相続登記を申請した場合の税率1000分の4と比べると、かなり割高になるといえます。
例えば、固定資産評価額1000万円の不動産を所有権移転登記する場合を考えてみましょう。生前対策をせずに、普通に所有者が亡くなった後に相続登記を行った場合は、登録免許税が4万円なのに対し、生前贈与として所有権移転登記を行うと登録免許税が20万円になります。税金だけでも16万円多くかかってしまうのです。

贈与税、不動産取得税がかかる

生前贈与による所有権移転登記を行った場合、「贈与税」「不動産取得税」が課されます。どちらも不動産を受け取った側にかかる税金で、もらった不動産の額により、税率が上がっていきます。一般的な自宅の贈与でも、前述の贈与による登録免許税と合わせて、100万円近くかかることもめずらしくありません。不動産の名義を変える際には、「それだけの大きな資産の所有権を移転する」という認識を必ず持つようにしましょう。
これに対して、毎年、贈与税の基礎控除額である110万円ずつ、不動産の名義を少しずつ移して贈与税がかからないようにすると考えられる方もいらっしゃいますが、一回一回の贈与は少額でも、全体として一つの贈与としてみなされる場合もある(「連年贈与」といいます)ため、安易に行うのはリスクがあります。
また、名義変更を何回かに分けて行うと、その分登記を申請する回数も増えますので、司法書士の報酬も一回で名義変更するよりも高くなります。

登録免許税を高い税率で納め、さらに司法書士報酬を毎年支払ってまで少しづつ贈与をするメリットがある方というのは、なかなかいらっしゃいません。いらっしゃるとすれば、普段から顧問税理士に相談しているようなケース(それほど資産がある方)で、きちんとアドバイスを受けている方です。
税理士の関与なく行うのは慎重になった方が良いでしょう。

金銭の生前贈与で忘れてはいけないこと

金銭についても、相続税がかかるのがもったいないという理由で、毎年少しずつお金を子や孫に贈与している方がいらっしゃいますが、「贈与したら自分の財産ではなくなる」ということを忘れてはいけません。贈与したら、贈与した相手の財産になりますので、後で「必要になったから返して」ということはできません。それができるとしたら、それは贈与ではなく、お金を貸していたもしくは預けていただけのことになります。

よくあるのが、例えば孫名義の預金口座を作って、そこに毎年110万円ずつ振り込んで贈与する、というものです。もし、孫がその口座の存在を知らず、振り込んだ人が実際には自由に使えるままだったとしたら、それは孫の財産ではなく、贈与した人の財産です。贈与は、贈与する人の「あげる」という意思表示と、受け取った人の「もらう」という意思表示により成立するものです。
贈与したい側が一方的に作った孫名義の口座は、いわゆる「名義預金」ということになります。

生前にしておくべきこと

「では、何を生前にしておくべきか?」という方のために、相続税がかかることになった場合に、困ってしまうことや、顧問税理士さんがいらっしゃらなくても比較的行いやすい相続税対策についてご紹介します。

不動産が多い場合は納税資金の確保が難しい

相続税がかかる方で、一番苦労されているのが、遺産がほとんど不動産で、納税資金の確保ができない方です。遺産が多くても、預貯金や証券など、現金化しやすいもので保有されていた場合は、その遺産の中から相続税を納めればよいので、相続税対策をしていなかったとしても、致命的な事態にはなりません(相続税の額が遺産の額を超えることはありません)。

遺産の中で、不動産が多い場合は、手元に納税資金がないにも関わらず、高額な相続税を支払うことになる場合があり、納税資金の確保が難しいのです。しかも、相続税の申告には期限があり、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」に行う必要があります。
納税方法として考えられるのは、残された不動産を売却して換金することや、物納(不動産などの相続財産をそのまま税務署に納めること)がありますが、すぐに売却できるのか、いくらで売れるのか等、タイミングよく良い条件の買主が見つかるとも限りません。
そして、物納は税務署側からすると、もらって価値のある不動産でないと意味がないため、要件が厳しく、簡単には認められません。

そのため、資産に不動産が多い場合は、生前に不要な不動産を売却するなどの納税資金の確保や、不動産の鑑定に詳しい税理士へ事前に下話をして、不動産をなるべく低く評価する方法を検討するなどの対策が必要です。

生命保険の活用

不動産をお持ちでない方でもできる、相続税対策としてよく挙げられるのは、生命保険や養子縁組です。生命保険による死亡受取金は、相続税の対象となりますが、相続人一人につき、500万円までの受取は非課税とされているため、生命保険をかけることにより、非課税枠を利用することができます。

養子縁組の活用

孫や子の配偶者などと養子縁組をすることにより、養子を相続人の数に含めることができ、基礎控除額を増やすことができます。ただし、養子が何人いたとしても、基礎控除の計算の際に相続人に含められるのは、実子がいる場合は一人、実子がいない場合は二人までですのでご注意ください。
誰を養子にするかについては、孫を養子にするケースが多いようです(配偶者は離婚のリスクがあり、その際に離縁の手続きが必要になるため)。未成年者の孫を養子にする場合は、養親が親権者になりますので、学校で養親の関与が必要になるケースがないかどうか確認をするなど、孫への配慮もしておくことがベターです。

 

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