土地の遺産分割の方法
遺産の中に土地があると、誰が取得するのか、なかなか決まらないケースがあります。「土地を欲しい」という相続人が複数いると、分けるのは難しいことです。もちろん数人の共有名義にすることもできますが、その後の管理が大変だったり、売却などの処分を検討した際に反対する人が出てくるなど、考えうる問題はさまざまです。
もし、土地が広い場合で、どうしてもそのままでは遺産分割協議がまとまらない場合は、大きい一つの土地を区切って、複数の新しい土地をつくることもできます。これを分筆登記といいます。
これは、相続人間で、それぞれ一筆ずつの土地を自分だけで管理したい、という場合に有効な方法です。
通常の遺産分割では、土地をAさん、Bさん、Cさんで相続することになった場合は、一筆の土地を三人で共有することになります。この場合、それぞれが土地全体の使用権は持っていますが、共有者の一人の決定では売却、担保の設定等の処分行為や人に貸したりなどの管理行為をすることができません。
分筆登記をすると、一筆だった土地が複数の筆に分けられるので、Aさんが土地A、Bさんが土地B、Cさんが土地Cを取得する、ということが可能になります。
分筆と相続登記の順序で大きな差が生じます
分筆と相続登記は、どちらを先に行うことも可能です。ただし、事案により適切な順序があり、今回の例では先に分筆登記を行う方が、手続きがスムーズかつ、費用も安く済みます。以下、必要となる登記を見ていきましょう。
①分筆登記→相続登記の順で行った場合
- 土地分筆登記
- 相続による所有権移転(土地AをAさん名義へ)
- 相続による所有権移転(土地BをBさん名義へ)
- 相続による所有権移転(土地CをCさん名義へ)
②相続登記→分筆登記の順で行った場合
- 相続による所有権移転(持分1/3:A、1/3:B、1/3:C)
- 土地分筆登記
- 土地Aにつき、遺産分割によるBC持分全部移転
- 土地Bにつき、遺産分割によるAC持分全部移転
- 土地Cにつき、遺産分割によるAB持分全部移転
②のケースでは、申請する登記が①よりも一件増えています。
相続登記を先に行い、3名の名義にした後に分筆をすると、分筆した時にABC3名共有の土地が3つできてしまいます。そのため、3名名義の土地から2名の名義を抜く作業を3回行う必要が出てきてしまうのです。
次に、費用についてです。
例として、土地の固定資産税評価額を1,200万円とし、一筆を平等に三筆に分筆した場合の各パターンでの登録免許税を見てみましょう。
①分筆登記→相続登記の順で行った場合
- 3,000円
- 16,000円
- 16,000円
- 16,000円
合計 51,000円
②相続登記→分筆登記の順で行った場合
- 48,000円
- 3,000円
- 10,600円
- 10,600円
- 10,600円
合計 82,800円
登録免許税だけでも31,800円もの差額が生じます。また、これは登録免許税のみの差額であり、実際には司法書士報酬についても、②の方が申請件数が多いため、増加します。
このように、分筆と相続登記の順序により、手続きにかかる費用が大きく変わるのです。
土地を分筆をする場合には専門家に相談を
分筆登記を先に行う場合には、遺産分割協議書に、分筆の予定図面を添付する必要があります。また、分筆登記は土地家屋調査士の専門分野のため、分筆を行う土地家屋調査士と連絡を取り合い、進めていくのが通常です。
費用について、先述の例では登録免許税の部分のみ述べましたが、分筆登記は時間と費用がかかる登記であり、気軽に行える登記ではありません。
本当に土地自体を分筆する必要があるのか?相続人中の一人に土地をそのまま取得させ、金銭で清算するなどの他の選択肢はないか?
様々な選択肢を入念に検討の上、決めることをおすすめします。
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