登記簿上の地目が農地の場合~許可書・届出書・受理済証明書のちがい~ | 広島の司法書士めぐみ法務事務所  

登記簿上の地目が農地の場合~許可書・届出書・受理済証明書のちがい~

農地の登記申請には農地法許可書もしくは届出書が必要です

登記簿上の地目が農地(田、畑など)の土地について、所有権移転登記や利用権を設定する登記をする場合には、農業委員会への許可もしく届出が必要になります。農地について許可等が必要される理由は、農地は耕作が必要で、誰にでも管理できるものではないため、管理する人が変わる際には、その人が農地を適切に管理できる人なのか、農業委員会がチェックしますよ、というものです。
農地について許可等が必要となる根拠条文は、農地法にあります。

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。(※但し書き以降省略)
 7 第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない
農地の場合、農業委員会の許可を得ずにした行為は、無効です。ですので、農地の所有権を移転する際には、農業委員会への許可が必須です。

「届出」と「許可」の違いは市街化区域と市街化調整区域の区分

登記簿上の地目が農地であっても、実際にはその土地の現状が畑や田んぼであるとは限りません。このような状況は、実際に農地を宅地などに開発したにもかかわらず、登記簿上の地目を変更せずに農地のまま放置したために生じます。
登記では、そのような「実際には宅地」の土地でも、登記簿上の地目が農地であれば、あくまでも登記簿を基準に判断するため、農業委員会の関与が必要になります。
もっとも、「実際には宅地」の場合は、農業委員会への「許可」までは必要とせず、「届出」で済む場合が多くあります。
これは、都市計画法上、土地の区分によって農地について必要とされるものが「許可」と「届出」が区別されているためです。どのように土地が区分されているかというと、次のように大きく2種類に分かれています。

  • 市街化区域・・・市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
  • 市街化調整区域・・・市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域

市街化区域は「どんどん街づくりをしていこう」という地域なのに対し、市街化調整区域は「街づくりをせず、現状を維持していくのが望ましい(すなわち農地を維持する)」地域です。
そして、市街化区域内の登記簿上農地の土地を売買する場合は、農業委員会への「届出」は必要ですが、「許可」までは要しないとされています。
現状が「宅地」で、謄本上のみ「農地」となっている土地は市街化区域にあることが多く、この場合は「届出」で足りることになります。

なお、これから売買などをする予定の地域が市街化区域なのか、市街化調整区域なのか知りたい場合は、広島市内であれば「ひろしま地図ナビ」で調べることができます。その他の地域にお住まいの方は、お住まいの行政機関が発行している都市計画図などをご参照ください。

農地の移転登記の際の注意点

農地の所有権移転登記には、注意すべき点が多いため、特に気をつけたい事項についてこちらでとりあげていきます。

「受理済証明書」は「届出書」の代わりにならない

お問合せの中で、「受理済証明書は手元にあるのですが、これは届出書の代わりになりませんか?」とご質問いただくことが多くあります。
受理済証明書とは、「過去に農地転用届出を受理されていることの証明」のことです。
結論から申し上げますと、受理済証明書は、所有権移転登記等、司法書士が登記を行う場合には使えません。なぜなら、例えば農地の売買による所有権移転登記を行う場合、今回の「売主」「買主」の届出をする必要があり、過去に取引をした際の証明では当事者が異なるため、意味がないためです。
これに対し、不動産の表題部の登記を専門とする、土地家屋調査士が行う「地目変更登記」には受理済証明書が使用できます。

地積更正や分筆を行った後に農地法の届出を行う

土地の表題部(地番や地積が表示されている部分)を変更する場合は、農地法届出の前に行いましょう。農地法届出書を取得した後、地積更正や分筆を行ってしまうと、農業委員会への届出時の土地の登記簿の表示と、所有権移転登記申請時の土地の登記簿の表示が異なってしまいます。
原則として、登記を申請する時点の登記簿の表示と農地法の許可書・届出書の表示が異なる場合には登記の添付書面として使えません。農業委員会で届出書・許可書を訂正してもらうか、書面の取り直しになります。
法務局の登記官に物件の同一性を認めてもらうことができれば、地積更正・分筆前の届出書が使用できる場合もありますが、最終的な判断は登記官の裁量に委ねられますので、基本的には地積更正や分筆がすべて完了した後に農業委員会への届出を行った方が無難です。

登記簿上の地目が非農地でも農地法の許可・届出が必要な場合がある!?

登記簿上の地目は非農地であっても、固定資産税評価証明書上の課税地目が農地の場合は、もし現実に農地であれば、農業委員会への許可・届出が必要です。登記申請としては、許可書・届出書がなくとも受理される可能性はありますが、現実に農地なのであれば、そのまま売買をしても無効です。
課税地目が農地の場合は、必ず農業委員会へ確認を行いましょう。

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