相続登記時に発見される、「存在しないはずの建物」とは? | 広島の司法書士めぐみ法務事務所  

相続登記時に発見される、「存在しないはずの建物」とは?

土地上に取り壊し済みの建物が?

相続登記をご依頼いただいたら、まず初めに対象の土地の物件調査を行いますが、土地の上にあるはずのない建物の登記簿が残っている場合があります。これは建物を取り壊した際に、本来であれば「滅失登記」を行うべきでしたが、それをしなかった場合に、登記だけが残ってしまっている状態です。
「固定資産税もかかっていないのに、なぜ?」と思われてしまうかもしれませんが、固定資産税は、実際に存在する不動産に課されるものなので、登記だけが残っている場合には課されません。そのまま土地を使用している分には実害がないのです。

売却や融資の際に不都合が生じる

しかし、土地売却の際や、住宅ローンなどで融資を受ける場合に不都合が生じます。不動産の売買契約書には、「所有権移転の時期までに、抵当権、賃借権等の所有権を阻害する一切の権利を消除する」との特約が定められています。形式上は特約という位置づけですが、ほぼすべての不動産売買契約書に盛り込まれている条項です。
もしご自身が買主だったら、土地上に何の権利も残っていない、完全にきれいな土地を買いたいですよね。存在しない建物の登記が残っていることは、「所有権を阻害する一切の権利」に含まれますので、「完全にきれいな土地」とは言えないのです。
実際には建物がなくとも、不安要素が残っている物件を売るわけにはいかないので、多くの場合は売主側で建物の登記簿を抹消してから、土地を売ることになります。

売買契約をしてから建物の滅失登記を行うとなると、契約書に定められている売買残代金の支払期日までに行う必要があります。期日までに抹消できなければ、こちらが「完全にきれいな土地」を期限内に用意できなかったことになり、契約自体が流れてしまいます。
また、建物名義の状況にもよりますが、滅失登記のための費用がかさんで、「こんなに費用がかかるなら売買代金をもう少し高くして売りに出しておけばよかった」と後悔しても、時すでに遅しです。

次に、金融機関から融資を受けて、土地に抵当権を設定する場合にも古い建物登記が問題となることがあります。金融機関は融資審査の段階で土地上の権利を確認するのが通常です。もし、存在しない建物の登記が残っていると、土地に不確定要素が存在すると判断されるため、建物登記の抹消が融資の条件となっている場合も多くあります。
せっかく今月の金利キャンペーンを使いたいと思って借り換えを申し込んでも、建物の登記を滅失するのには、早くても二週間程度はかかります。結局時間がかかり、翌月の借り換えになってしまった、ということではガッカリしてしまいますよね。

気づいたときに滅失登記を!

前述のとおり、売却や、融資を受けるときに、存在しない建物の登記が原因で手続きが滞ることとなる場合があるので、当事務所では、相続登記をご依頼いただいた際に、存在しない建物が残っていないかどうかの調査を行っています。
もし、取り壊したはずの建物登記が残っていた場合は、なるべく早めに滅失登記を行うことをおすすめいたします。滅失登記は、土地家屋調査士の専門分野となるため、土地家屋調査士のご紹介をすることになりますが、見つかった建物の名義がどなたかによって、滅失方法が異なります。

ご自身もしくは先代の名義だった場合

建物が、ご自身もしくは先代の名義だった場合には、本人または名義人の相続人として、建物の滅失登記を行います。先代の名義であっても、ご自身が相続人であれば、相続人全員の印鑑が必要になるわけではないので、比較的スムーズに滅失できます。

身に覚えのない方の名義だった場合

建物の名義がご自身の先代でもなく、身に覚えのない方の名義の場合には、法務局に職権での滅失を促す「申出」を行います。この場合には、名義人の調査が必要になるため、時間がかかる場合があります。

近隣の方のご名義だった場合

近隣の方のご名義もしくは「この名字、ご近所さんと同じだな・・・」という場合は、お隣さんの土地の上に建っている実在する建物の可能性があります。
昔、大きな一つの土地だったものが、分筆を繰り返し、土地が区分けされた場合には、土地の地番上、自分の土地の上に建物が建っているように見えることがあるのです。
この場合、実際に調査をして、お隣さん所有の実在する建物だった場合には、滅失登記は必要ありません。
ただし今後、売却や融資の際、不動産業者や銀行に「登記簿上建物が残っていませんか?」と聞かれる可能性があるので、「お隣さんの建物です」ということを証明できるよう、見つかった時にきちんと調査をしておくと良いですね。

 

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