借地契約における負担付死因贈与の利用方法 | 広島の司法書士めぐみ法務事務所  

借地契約における負担付死因贈与の利用方法

建物所有の土地賃貸借関係を解消するために

土地を貸している場合、貸主側の事情で契約を終了させることは、正当事由などの条件があり、容易には認められません。これは、借主を保護する趣旨で制定された借地借家法によるものです。しかし、貸主の側にも、様々な事情があります。例えば「今の借主さんには昔からのよしみで貸すけれど、次の代に変わったら、土地を返してもらいたい。」「ゆくゆくは別の形で土地を利用したいので、切りの良いところで契約を終了させたい。」という場合です。また、借主側でも、「自分は借地上の家に住んでいるが、息子達はそれぞれ住居を構えていて、借地権は必要なくなる。自分がいなくなった後、借地を残して後世に迷惑をかけたくない。」などお悩みの方もいらっしゃいます。

「負担付死因贈与契約」のご提案

上記のような悩みを解決する一つの方法として、「負担付死因贈与契約」をご提案します。まずは「死因贈与」に関する民法の条文を見てみましょう。

(死因贈与)
第五百五十四条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

「死因贈与」とは、遺言に類似するもので、「私が死んだら、○○を××に贈与する。」のような、死亡を原因として贈与の効力を発生させる契約のことです。遺言と異なるのは、遺言は遺言者による一方的な意思表示であるのに対し、死因贈与は渡す側と受け取る側両者での契約である点です。
また、「負担付」死因贈与とは、死因贈与で譲渡を受ける側にも一定の義務を課した契約形態をいいます。

借主が死亡したら、貸主に建物と借地権を贈与する

この負担付死因贈与を利用して、借主が亡くなった場合に、建物及び借地権を貸主に贈与し、その代わりに貸主は借主が負う現状回復義務を免除することで、実質的に借主の次の世代に借地権を継承させない契約を締結することができます。なお死因贈与は遺言と異なり、仮登記をすることが可能ですので、生前に登記をし、権利関係を明確にしておくことができます。

死因贈与契約を締結する際の注意点

ただし、死因贈与契約は契約のため、一方的に取り消すことはできません。また、執行者を定めておく必要などもあり、専門家を介して借主・貸主ともに十分な説明を受けた上で慎重に契約する必要があります。詳しいご説明をご希望の方や、借地関係でお悩みの方、是非一度お話をお聞かせください。ご希望に沿ったご提案をさせていただきます。

 

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